陸上界の「名物指導者」である「小出義雄さん」が亡くなっていたと、2019年4月24日、報道各社が報じています。
関係者の話によると、最近の小出義雄さんは、体調が優れず「入退院」を繰り返していて、指導者としての第一線からは、今年の「3月一杯」で退いていたそうです。
更に「心臓」に持病も抱えていたと言われていて「集中治療室」に入り治療を行ってきましたが「4月24日の午前」に息を引き取ったということ。
「80歳」でした。
千葉県の高校陸上部で、指導者としての実績を積み上げ、その後「実業団」へと移った小出義雄さん。
「有森裕子さん」ら、数多くのメダリストランナーを育て上げた「名コーチ」です。
そして、小出義雄さんの「教え子」と言えば、やはり「高橋尚子さん」の名前が頭に浮かんできます。
シドニーオリンピックのマラソンで見事に「金メダル」を獲得した高橋尚子さん。
その高橋尚子さんを「Qちゃん」と呼び、可愛がりながら指導に当たっていた小出義雄さんの姿は、非常に印象的でした。
そこで今回は「小出義雄さんと高橋尚子さんの関係性が分かるエピソード」を見ていきたいと思います。
小出義雄と高橋尚子の師弟の関係性が分かるエピソードは?
高橋尚子さんの「シドニーオリンピック」での「金メダル獲得」そして「国民栄誉賞」の受賞は、小出義雄さんの存在無くしては語れません。最強のランナーを目指すために、常に「二人三脚」で歩んできた2人。
小出義雄さんと高橋尚子さんの出会いは「実業団のチーム」に入ってからでした。
その頃の高橋尚子さんは、大学を卒業した後の進路について、陸上選手を引退し「教師」になるか、実業団に入り「現役」を続けるかで迷っていました。
高校時代の恩師から「3年間くらいやってみようという気持ちなら辞めてしまえ。高い志があるのなら続けたら良い」と言われ、更に、当時、小出義雄さんが監督を務めていた「リクルート」に入ることを勧められます。
高橋尚子さんの元には、この頃「8社」もの実業団からスカウトが来ていました。
しかし、その中には、小出義雄さんが率いる「リクルート」からの誘いは無かったそうです。
考え抜いた高橋尚子さんは、誘いを受けていた「8社全て」に断りを入れ、小出義雄さんに、直接会いに行きます。
高橋尚子さんの「直談判」に対して、最初、小出義雄さんは「大学生は取らないから無理」とつれない返事を返しました。
しかしその後「契約社員でも良ければ、給料安いけど来るか?」と、小出義雄さんが提案し、高橋尚子さんの「リクルート入り」が決定。
有森裕子さんら「スター選手」を抱えていた当時のリクルート。
その中で「どうしたら自分を認めてもらえるのか?」と考えた高橋尚子さんは、小出義雄さんの自宅に「FAX」で「自分の練習メニュー」や「調子」などをまとめたリポートを送ります。
そんな高橋尚子さんの「練習に対する意欲」や、もともと持っていた「ランナーとしての才能」に気付いていた小出義雄さんは、こんな言葉を彼女にかけていました。
「おまえは、マラソンで世界一になるよ」
この頃の高橋尚子さんは、まだ「マラソンに転向する前」で「800m」や「1500m」などの「中距離」でしか実績を残していませんでした。
そのため、高橋尚子さん本人は「(監督は)何を言っているんだろう?」と不思議な気持ちでいたそうです。
それでも小出義雄さんが、每日のように「同じ言葉」をかけ続けると、高橋尚子さんも次第に「その気」になっていき、約1年が経過した頃には「行けるかもしれない」と考えるようになりました。
小出義雄さんが、どこまで「確信」していたのかは分かりませんが、これはきっと、高橋尚子さんの「性格」も知った上で「彼女の才能を最大限に伸ばすための作戦」だったのかもしれません。
そして、そんな小出義雄さんの言葉を信じて「指導」に従っていった高橋尚子さん。
高橋尚子さんのインタビューを見てみると、本当に小出義雄さんのことを「信頼」しているのが伝わってきますからね。
小出義雄と高橋尚子の本当の仲は?
非常に「固い信頼関係」で結ばれている小出義雄さんと高橋尚子さん。その関係性は、高橋尚子さんが「現役を引退した後」でも変わることはありませんでした。
今年の3月に小出義雄さんが「指導者」を勇退した際に、高橋尚子さんが「監督」に向けての思いを語っていたエピソードを見ていきましょう。
高橋尚子さんは、ここでも「今の自分があるのは小出監督のおかげ」とし、シドニーオリンピックオリンピックの「金メダル」や、2001年に当時の「世界記録」を出せたことも、全ては「小出義雄さんがいなければ絶対に出来なかったこと」だと振り返っています。
それだけに、来年に迫っている「東京オリンピック」で、小出義雄さんが「指導」する姿を見たかったとも考えていました。
しかし、この1年間程、体調を崩し、満足な指導が行えていなかった小出義雄さん。
そんな姿も見ていた高橋尚子さんは、責任感の強い「監督」がした決断を尊重し「勇退発表後」には、すぐに「小出義雄さんの元へ駆けつけ」労をねぎらいに行きます。
ところがその時に、小出義雄さんから逆に「おまえはよく走ったな。夢を叶えてくれてありがとう」という言葉をもらったそうです。
高橋尚子さんは、そんな監督の言葉に対して「私は五輪で金メダルを取ったことよりも、世界記録を出したことよりも、小出監督に会えたことが一番大切な、価値のあることです」と、改めて「感謝の言葉」を伝えたということ。
こんなことを言われたら、お互いに泣いてしまいそうです。
本当に素晴らしい関係性ですね!
というわけで今回は「小出義雄と高橋尚子の本当の仲や師弟の関係性が分かるエピソードは?」について見てきました。
最後になりましたが「小出義雄さんのご冥福をお祈りします」。