大手製薬会社「バイエル薬品」の複数の社員が、薬に関するアンケートの中で、患者の個人情報が記載されたカルテを無断で閲覧していた問題が、「バイエル薬品の社員の内部告発」によって明らかになっています。
この問題に関しては、厚生労働省も動いており、個人情報保護法などに違反している可能性もあるとして、行政処分も検討しているということです。
宮崎の開業医師の病院はどこ?
薬に関するアンケートに答えた約200名分のカルテを、患者さん側の同意があるのかないのか確認しないまま、医師から閲覧させてもらっていたのは、バイエル薬品の営業の社員3名。そして社員たちは、そのデーターをエクセルシートに転記します。
提示されたカルテには、「がん」や「認知症」など、本来のアンケートの目的とは関係のない「個人の病歴」に関する情報も含まれていたといいます。
「カルテの無断閲覧」に関わった社員の内部告発によって、表沙汰になったこの問題。
告発した社員によると、カルテを閲覧させたのは「宮崎県内の開業医」としています。
今後の、厚生労働省の動きや、社会的影響なども踏まえて「病院名の公表」はされていませんが、既にネット上では特定されてきつつあります。
「宮崎の開業医師の病院はどこ?」
現在のところの報道を見ていると、「病院の名前」こそ出してはいないものの、この辺りの土地に詳しい地元の方などからしたら、病院名が分かるような、映像の撮り方などをしていて、特定するのは難しくないようにしている印象もあります。
むしろ、このような撮り方をして、その病院が何も今回の問題に関わっていなかった場合は、そちらの方が風評被害を受けそうですから、よっぽどの確信があるのでしょう。
今後の展開次第では、今回の問題に関わった病院の名前というのも、特定されてくるとは思いますので、推移を見守りたいです。
バイエル薬品が会社ぐるみで接待指示?
今回の問題で大きな焦点となってくるのが、製薬会社と「開業医」の癒着。報道によると、カルテを見せた医師に対する「クラブ・料亭での接待」についての実態も、内部告発者により明らかになっています。
内部告発者は、この開業医について「接待が大好きな先生で、高級店にしか行かなかった」とも。
こうなると、個人でどうこうということではなく、会社ぐるみで行われていたことは明白です。
「バイエル薬品」は、「カルテの無断閲覧」については事実を認めていますが、これからどこまでその実態が明らかになるのか。
この辺りの問題についても、徹底的に明らかにしてもらいたいです。
このような接待の内容についても、MR本人が告白しています。
MRとは、製薬業界にある言葉で、医療情報担当者を指します。
MRとも呼ばれている、バイエル薬品の営業担当だった現役社員の内部告発は、かなり事細かです。
「製薬会社と持ちつ持たれつの関係にある先生の1人。メシを食ったり飲んだりして、その後はクラブに行く。必ずタクシーで来る、会社が用意したチケットで」
これらの告発に対し、取材を受けた開業医は接待を受けたことを認めています。
その上で、「自分から(接待を)要求したことはない」また、「バイエル薬品からの接待が特に高額だとか、回数が多いということもない」と答えています。
このような接待関係が元で得たカルテのデーターを使って行われていたのが、バイエル薬品の決戦治療薬「イグザレルト」の広告。
この薬の広告には、関係があったとされる開業医の名前も記載されています。
しかもこの広告には、この開業医の名前で書かれた「医学書に掲載された」論文も使われていますが、実はこの論文を書いたのは、開業医ではなく、バイエル薬品側だった事も分かっています。
実際は、バイエル薬品側が書いたとされる論文の元原稿に、開業医が赤い文字で、2箇所だけ添削したものでした。
ここで、「カルテの無断閲覧」から「論文の作成」までの流れを、内部告発者の証言の元、まとめていきます。
- MR達(内部告発者含む)がカルテを無断閲覧し、情報収集
- バイエル薬品本社にデーターを提出
- 会社が、そのデーターを元に、論文の元原稿を作成
- 開業医がその論文をチェックして添削
- 雑誌に掲載
このような論文作成の経緯について、開業医は認めていますが、バイエル薬品側は「検証中」と解答。
今回のようなケースに対し、専門家はこう述べています。
「製薬会社が(調査を)実施して研究の中身の論文も書いて、だけど医師の名前を借りて非常に悪質なケース。製薬企業と医師との不健全な経済的な関係は社会問題化している」
引用元:「薬害オンブズパースン会議 水口真寿美 弁護士」
今回の問題では、製薬会社と医師の癒着がどこまで進んでいるのか、その辺りも詳しく調べてもらいたいですね。