朝鮮半島付近での緊張感が高まる中、15日北朝鮮は、故金日成主席の生誕105周年を祝う軍事パレードを行いました。
その中で、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」と見られる、新型ミサイルを初公開しています。
この映像を見た、韓国軍参謀本部は「新型ICBM」と推定していると発表。
また、「既存の型よりも長いようにも見える」とコメントを残しています。
この新型ミサイルに加え、パレードでは、昨年発射実験が行われた「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)」の「北極星1」や、SLBM技術を活用し、固定燃料を使用した「新型中距離弾道ミサイル」の「北極星2」と見られるミサイルもお披露目しています。
ICBMミサイルの精度や射程距離と威力の違いは?
大陸間弾道ミサイル(ICBM)の命中精度は、半数必中界(CEP)で表します。半数必中界(CEP)というのは、半数が必ず命中する数値のこと。
半数必中界(CEP)が「100」とすると、10発発射すれば、5発が100m範囲内に着弾するという意味です。
という事は、半数は100m以上外れる可能性もあるという事。
あくまで、百発百中では無いということですね。
例として、アメリカの場合で見てみましょう。
アメリカの「ICBM LGM-118A ピースキーパー」の場合。
射程14000キロで、CEPは100m。
このピースキーパーというのは、複数の核弾頭を積んで「一発で複数の都市」を破壊できる「MIRV方式」と呼ばれるタイプです。
「CEP100m」であれば、日本で言うと国会議事堂を狙って、外れても永田町のどこかに、また東京駅を狙えば、駅構内のどこかには着弾するレベル。
そもそも核弾頭は、危害半径が数キロにも及ぶので、着弾点が100m位ズレても、大した影響は無いとも言えます。
この精度は、世界でもトップクラスであり、北朝鮮がこれと同等レベルの技術を持っているとは考えにくいです。
というのも、北朝鮮はまだ「ICBM」の試射は一度も行っていません。
その為、兵器としての信頼性はまだ無いといえるでしょう。
北朝鮮が「ICBM」の試射に慎重なのは、もし試射を実行したら、アメリカの先制攻撃を受ける可能性も考えなくてはいけなくなるからでしょう。
逆に考えると、アメリカにとっても「ICBM」の脅威は高いということになります。
現に、前NORAD司令官のウィリアム・ゴートニー氏は取材を受けて、「北朝鮮は米国本土とカナダを射程に収めた大陸間弾道ミサイル(ICBM)を、宇宙空間に撃ち上げる能力をもっている。核爆弾を小型化しICBMに搭載する能力も保持している」と述べています。
ゴート二ー氏が語っている「ICBM」とは、主に推定最大距離が1万キロ以上とみられている「KN08」というタイプを指し、この型だと「アメリカ本土」も射程圏内となってきます。
時間の経過と共に、確実に北朝鮮のミサイル技術は上がってきていますし、アメリカの懸念が強くなっているのも当然でしょう。
また、北朝鮮は核弾頭の小型化にも既に成功していると発表しています。
どこまでが本当かは分かりませんが、核弾頭を小型化して、このICBMに搭載することまでが可能になったとしたら、その威力や脅威は今までの比ではなくなるでしょう。
ICBMミサイルの値段や迎撃は?
ICBMミサイルのコストですが、先述したアメリカのICBM「ピースキーパー」の場合、1トンあたりで「2,30億円程度」と言われています。そして迎撃についてです。
ICBMは、飛び方としてはロケットのように上空に打ち上げられて、弾道は放物線を描いて飛んでいきます。
つまり、大気圏を一度飛び出して落下してくるという「飛行特性」を持っています。
この為に、超高速で発射されますが、高度も高く飛び上がる為に探知することは比較的簡単であるといいます。
しかし、それと迎撃出来るかというのは、また別の話になってきます。
同じタイミングで、何発搭載されて、発射されるかにもよりますが、ICBMのスピードはマッハ20とも言われているので、発射されたものを全て、確実に迎撃するというのは、現在の技術ではかなりハードルが高い事のようです。